「賃貸不動産経営管理士を取得すると、実際にどんな仕事をするのだろう」

資格の概要は知っていても、日々の業務のイメージが湧きにくいという方は多いのではないでしょうか。賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅のオーナーと入居者の間に立ち、契約後の管理業務を専門に担う存在です。

この記事では、管理受託契約の締結から入居者対応、原状回復、家賃管理まで、賃貸不動産経営管理士が携わる具体的な業務内容を整理し、あわせて「業務管理者」としての役割、混同されやすい「管理業務主任者」との違いについても解説します。


結論

賃貸不動産経営管理士の主な仕事は、賃貸住宅の管理受託契約に関する重要事項説明、入居者対応、原状回復・修繕の手配、家賃管理など、契約後の運営業務全般です。管理戸数200戸以上の管理業者では、営業所・事務所ごとに「業務管理者」の設置が義務付けられており、賃貸不動産経営管理士はその要件を満たす代表的な資格です。マンションの管理組合を対象とする「管理業務主任者」とは、扱う物件の性質も業務範囲も異なります。

賃貸不動産経営管理士の仕事の全体像

賃貸不動産経営管理士が担うのは、賃貸住宅のオーナー(貸主)から管理業務を受託し、入居者(借主)との間の実務を円滑に進める役割です。売買や賃貸契約の成立までを担う宅建士とは異なり、契約が成立したの運営フェーズを長期的に支えます。

具体的な業務は、大きく分けると「オーナーとの管理受託契約に関する業務」「入居者対応」「原状回復・修繕」「家賃管理」の4つに整理できます。次の章から、それぞれを詳しく見ていきます。

賃貸不動産経営管理士は、契約成立後の賃貸住宅の運営業務を長期的に支える役割です。

管理受託契約の締結・重要事項説明

賃貸管理会社がオーナーから物件の管理を任される際には、管理受託契約を締結します。この契約に先立ち、管理業務の内容や委託手数料、契約期間などの重要事項をオーナーに説明する業務があり、賃貸不動産経営管理士の専門知識が活かされる場面のひとつです。

賃貸住宅管理業法では、管理受託契約を締結する前に、業務管理者などの専門知識を持つ者が重要事項説明を行うことが求められています。オーナーが管理内容を正しく理解した上で契約できるようにする、いわば「契約前の橋渡し役」です。

説明する内容には、管理業務の範囲、報告の頻度、免責事項、契約解除の条件などが含まれます。オーナーとのトラブルを未然に防ぐためにも、正確でわかりやすい説明が欠かせません。

管理受託契約の締結前には重要事項説明が必要で、賃貸不動産経営管理士の知識が活かされます。

入居者対応の実務

入居者対応は、賃貸不動産経営管理士の業務の中でも日常的な比重が大きい分野です。具体的には次のような業務があります。

  • 入居審査: 申込者の属性確認、オーナーへの入居可否の提案
  • 契約更新: 更新手続きの案内、更新料の徴収
  • 問い合わせ・クレーム対応: 設備の不具合、近隣トラブルなどへの一次対応
  • 退去手続き: 解約通知の受付、退去立会いの調整

入居者からの連絡は多岐にわたるため、状況を整理してオーナーに的確に報告する調整力も求められます。

入居審査から退去手続きまで、入居者との日常的なやり取りを幅広く担当します。

原状回復・修繕への対応

退去が発生した際には、原状回復の範囲確認が重要な業務になります。国土交通省のガイドラインなどをふまえ、経年劣化による損耗とみなされる部分と、入居者の負担となる部分を切り分け、敷金精算につなげます。この判断が曖昧だと、退去者とのトラブルに発展しやすいため、専門知識に基づいた説明が必要です。

また、入居中に発生する水回りや設備のトラブルについても、修繕業者の手配や見積もりの確認、オーナーへの報告といった調整役を担います。

原状回復の範囲確認と修繕手配は、トラブル防止のために専門知識が求められる業務です。

家賃管理とオーナーへの報告

家賃の集金、滞納者への督促、オーナーへの送金管理も管理業務の柱のひとつです。家賃が滞納した場合には、入居者への連絡や支払い計画の調整など、丁寧な対応が求められます。

あわせて、空室状況や賃料の相場、リフォームの必要性などについて、オーナーに定期的に報告・提案を行うことも重要な役割です。管理業務の実施状況を適切に記録し、オーナーに開示できる状態を保つことも、賃貸住宅管理業法で求められる業務のひとつになっています。

家賃の集金・滞納対応と、オーナーへの定期的な報告・提案が求められます。

業務管理者としての役割

賃貸住宅管理業法では、管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者に対して、営業所・事務所ごとに「業務管理者」を1名以上配置することを義務付けています。賃貸不動産経営管理士は、この業務管理者の要件を満たす代表的な資格のひとつです。

業務管理者が担う主な役割は次のとおりです。

  • 管理受託契約締結前の重要事項説明
  • 管理業務の実施状況の管理・監督
  • 帳簿の備付けなど、法令で定められた記録の管理

つまり業務管理者は、現場の実務担当者というよりも、管理業務全体が法令に沿って適正に行われているかを確認する責任者的な立場です。賃貸不動産経営管理士の資格を持つことで、こうした管理体制の中核を担うキャリアを目指しやすくなります。

業務管理者は重要事項説明・実施状況の管理・帳簿の備付けを担う、管理体制の責任者的な立場です。

管理業務主任者との違い

賃貸不動産経営管理士と混同されやすい資格に「管理業務主任者」があります。名称は似ていますが、根拠となる法律も対象とする物件も異なる資格です。

項目賃貸不動産経営管理士(業務管理者)管理業務主任者
根拠法賃貸住宅管理業法マンション管理適正化法
対象物件賃貸住宅(アパート・賃貸マンション)分譲マンション
契約相手個人・法人オーナーマンションの管理組合
主な業務管理受託契約の重要事項説明、入居者対応、原状回復・家賃管理など管理組合への重要事項説明、管理事務報告など

賃貸不動産経営管理士が扱うのは、大家が所有する賃貸住宅の管理です。一方の管理業務主任者は、区分所有者の集まりである管理組合から管理業務を受託するマンション管理会社に必要な資格で、対象がそもそも異なります。両者は「管理」という言葉こそ共通していますが、業務のフィールドは別物と理解しておくとよいでしょう。

管理業務主任者は分譲マンションの管理組合を対象とする資格で、賃貸住宅を扱う業務管理者とは対象物件が異なります。

主な勤務先とキャリアパス

賃貸不動産経営管理士の資格を活かせる主な勤務先は、賃貸住宅管理会社不動産会社の管理部門です。賃貸仲介と管理を兼業する会社も多く、宅建士とのダブルライセンスを持つことで、入居者募集から契約、管理までを一貫して担当できる人材として評価されるケースもあります。

業務管理者として配置されるポジションを目指す場合は、資格の取得に加えて、賃貸管理の実務経験を積むことが重要になります。

主な勤務先は賃貸住宅管理会社や不動産会社の管理部門で、実務経験を積むことでキャリアの幅が広がります。

まとめ

賃貸不動産経営管理士の仕事は、管理受託契約の重要事項説明、入居者対応、原状回復・修繕、家賃管理など、賃貸住宅の運営を支える幅広い業務にわたります。管理戸数200戸以上の業者では業務管理者の設置が義務付けられており、賃貸不動産経営管理士はその要件を満たす資格として、賃貸管理会社を中心に需要があります。

分譲マンションを対象とする管理業務主任者とは対象物件も契約相手も異なるため、混同せずそれぞれの役割を理解しておくことが大切です。

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よくある質問

Q. 賃貸不動産経営管理士の主な仕事内容は何ですか?

A. 管理受託契約に関する重要事項説明、入居者対応(入居審査・契約更新・クレーム対応・退去手続き)、原状回復・修繕の手配、家賃管理などが主な業務です。

Q. 業務管理者とは何ですか?

A. 賃貸住宅管理業法に基づき、管理戸数200戸以上の管理業者が営業所・事務所ごとに配置を義務付けられている責任者です。重要事項説明、管理業務の実施状況の管理、帳簿の備付けなどを担い、賃貸不動産経営管理士はその要件を満たす代表的な資格です。

Q. 管理業務主任者とはどう違いますか?

A. 管理業務主任者はマンション管理適正化法に基づく資格で、分譲マンションの管理組合を対象とします。賃貸不動産経営管理士(業務管理者)が扱う賃貸住宅とは、対象物件も契約相手も異なります。

Q. どんな職場で働くことが多いですか?

A. 賃貸住宅管理会社や不動産会社の管理部門が主な勤務先です。賃貸仲介と管理を兼業する会社では、宅建士とのダブルライセンスが評価されることもあります。

Q. 原状回復の業務では何をしますか?

A. 退去時に、経年劣化による損耗と入居者負担となる損耗を切り分け、敷金精算につなげる業務を行います。国土交通省のガイドラインなどをふまえた判断が必要です。

Q. 未経験でも賃貸管理の仕事に就けますか?

A. 賃貸不動産経営管理士試験には受験資格の制限がなく、未経験からでも挑戦できます。ただし業務管理者として配置されるには、資格に加えて実務経験が求められるのが一般的です。